河童、ついに鹿児島県到達!

2003年5月6日

鹿児島県肝属郡内之浦町

 とうとう河童も鹿児島県到達である。これで、太平洋側は青森から鹿児島まで、ひととおり制覇したわけで、まずはめでたい(?)。

 高速移動しているので、更新ができなかったのだが、5月1日から漕ぎにこぎ続けていたのだ。

 1日、日向市細島港を出て、リニアモーターカーの実験線などをながめながら、35キロ漕いで川南町へ。ここは砂浜の中に、ほちっとある港で、町までが遠い。運の悪いことに手持ちのお金が少なくなっていて、どうしても郵便局に行く用事があり、自転車で30分走って町まで行って来た。町の真ん中に「トロントロン」という地名があったが謎である。

 2日、シーガイアを横目に見ながら43キロ漕いで、宮崎市青島というところへ入った。港の中を探し回り、造船所のスロープにあげさせてもらった。宮崎港も入れるとは聞いていたのだが、買い物は日向でしてしまったし、距離も中途半端なので宮崎には入らなかったのだ。では、なぜ青島に入ったかというと、ここに青島温泉という温泉があって、風呂に入れそうだったからである。東海ラジオのインタビューで、今年は温泉巡りはしないなどといっていたが、なんのことはない、今年もすっかり温泉巡りである。それで、岬の先っぽにあるJAがやっている温泉に入りにいってきた。入泉料1000円は温泉としては普通であるが、河童にはちと痛かった。この夜は、青島ドックのご好意で、作業場を貸してもらって、固い壁と固い屋根の下で寝た。ところが、夕方遅くに入って、温泉温泉とあわてていたので、ここの住所を聞き忘れてしまった。礼状が書けない。誰か宮崎近辺の方、青島ドックの住所わかったら教えてください。

 3日、青島を6時半に出て、とろとろと漕いでいると、後ろからいきなり声をかけられた。断っておくが、カヌーというものは、基本的に前しか見えない。漁船などが後ろから近寄ってくるのは、ひたすら音だけに頼っているのだ。したがって、音もなく近づいてきて声をかけられることは通常あり得ない。何だ?とふり返ってみると、なんとシーカヤックである。去年も含めて7ヶ月漕いでいるが、はじめてシーカヤックにあった。聞けば宮崎のクラブ「シーライオン」の方々で、宮崎からツーリングなのだそうな。今夜はキャンプするので、ご一緒にいかがですか?と誘われ、大いに心が揺れた。この日の予定は、油津だったのだが、キャンプ地はそこのすぐ先。しかも、とどめの一言がきいた。
「ビール、冷えてます」
 とはいえ、よくよく考えてみると、かわうそ号は浜上げができない。重すぎて埋まってしまうのだ。それに、油津で補給しないといけないものがひとつあって、なにより油津が電波の届く最期の地だったのだ。そこで、やむなく油津に入った。その旨は、あとから河童を追い越していった(かわうそ号は通常のシーカヤックの半分程度の速度しか出ない。何しろ荷役船だからね)他の人に伝言しておいた。
 
 ところが、油津にあがって、冷たいビールは魅力的であったなあ、などと思いながらフネをかたづけていると、どう見たってカヌーをのせるように大改造をほどこしたとしか思えない幼稚園バスがやってきた。
「さきほどはどうも!」
などといいながら出てきたのは、さっき洋上で会った方である。河童が油津にはいるときいて、わざわざ探してきてくれた。シーライオンの蔵本さんというらしい。河童も自己紹介して名刺を渡すと、
「じゃあ、あとで迎えに来ます」
といって、幼稚園バスは去っていった。
 河童はこのあと油津の町まで出ていって(思ったより町であった。なかなかおもしろいものもあったので、この町の詳細はいずれ書く)補給をし、さて、と思っていると蔵本さんから電話がかかってきた。
「フネで行きますので」
と言って、本当に5分後、モーターボートがやって来た。うーむ、なかなかやるなあ。
 結局、河童はこのキャンプに乱入し、さんざん食べて飲んで帰ってきたのである。特筆すべきはこのキャンプ、女性の参加者が非常に多く、女の子から女の方まで、参加者の半分ほどが♀だった。うーむ、なかなかやるなあ。

 4日、どうもかなりへたばっているようで、油津を出てきたものの、さっぱりスピードが出ない。かわうそ号の標準排水時における巡航速度は時速5キロである。ところが、いつもと同じように漕いでいるのに4キロ程度しか出てこない。よれよれと漕ぎながら30キロ漕いで、都井岬の付け根、宮之浦に入る。
 公園に水道があったので、体を洗っていたら、地元のおばさんにおこられてしまった。ひとまずあやまって、あとで話をしてみると、このすぐ北にサーファーのやってくる浜があって、そこにやってくるサーファーが、この公園でけっこう無茶をするらしい。河童がかわうそ号でやって来たというと、物好きだねえといわれた。まったく、その通りである。

 5日、朝、いつものようにかわうそ号を水際まで降ろし、ころを回収しにもう一度スロープにのぼった。ころを拾って、さて、とふり返ると、なんとかわうそ号が港の中に浮かんでいた。河童が目を離した隙に、勝手に動き出したらしい。もー、お前が1人で動けるわけないんだから、河童なしでどうするんだよ! 
 ところが、ここのところの酷使がたたってすねているのか、呼べど叫べど帰ってこない。わがままなかわうそである。しかたなく、泳いでいってかわうそをとっつかまえ、スロープに引き戻してきた。セミドライを着ているものの、襟首があいていたので、そこから水が入ってきてびしょぬれである。
 気を取り直して漕ぎだしてはみたものの、速度は4日より、また一段と落ちて3キロ台。志布志湾をひいひい言いながら何とか漕ぎきって、3時に内之浦に入港。ともかく、ここで停滞しようと思った。

 それでこれを書いているのは6日の朝なんだが、朝から雨が降ったり止んだりの天気である。やっぱり、昨日まで無理して漕いでおいて良かった。明日も天気悪いらしいけど、どうしたものか。なにしろ、ここにはスーパーも温泉もあるからねえ。しかも入泉料300円。やっぱり、停滞は温泉に限るね。

 ちなみに、この5日間での移動距離ざっと160キロ。かわうそ的には高速である。

シーライオンのキャンプに乱入。
ごちそうさまでした。
油津を出ようとしたら、本船がきた。
自動車運搬船が入ってくるわけないな、
とよく見るとRORO船だった。
宮之浦にて。
自販機がなかった。自主規制か?
志布志湾横断中。
進まない。
内之浦にあがったかわうそ。
今度は逃げないようにしばりつけてある。
河童を甘く見るなよ。