かわうそ号船体破損!

2003年4月29日

宮崎県日向市

 3日漕いで宮崎県に入ったのだが、ここへ来て、非常にまずいことになってしまった。かわうそ号船体破損で、要修理である。

 27日に、予告通り佐伯を出て、蒲江町まで漕いできた。佐伯市というのは、内陸にはずいぶん広いのであるが、なぜか海岸線は他の町になっていて、蒲江町というのも、陸で行けば佐伯市の隣になるのであるが、海で行くと鶴見町、米水津村ときてようやく蒲江町なのである。しかも、鶴御崎という岬が、佐伯港から東に向かって15キロも伸びていて、これを回らないと南へ進めないのである。

 ここをのこのこと漕いでいったのであるが、この鶴御崎のすぐ北には、大島という島があって、この間に元ノ間海峡という名前が付いている。こんな幅1キロもないようなところに、わざわざ海峡などという名前が付いていると言うことは、それなりにすごいぞってことで、事実ここにさしかかると、あの竜飛崎で見たのと同じ波が立っていた。で、河童はどうしたかというと、そのまま突っ切ったのである。竜飛の時は、潮の流れが逆だったのだが、今回はちゃんと潮を調べていった。ようするに、追い潮だったので、どれだけ流れていても、コケさえしなけりゃ越えられるのだ。もっとも、GPSの対地速度は、もうむちゃくちゃな数字をはじき出して、そこからわき上がる波をかき分け、押し分け進んでいったのは当然である。なんだか最近そういうことにも慣れてきてしまって、河童的には感動しないのだ。前から言っているとおり、こんなところを通ったぞ、なんて自慢する気もまったくないし、あ〜怖かった、というのが実感なのである。

 蒲江町というのは、全体がリアス式海岸になっていて、どこもかしこも港になっている。そういうところは、どこに入るか迷う。河童的にはスロープがあって、水があって、トイレがあって、買い物が近くでできるところが好みなんだが、地図ではそれが判断できない。ましてや蒲江町程度の町だと、どこにはいってもはずれという可能性もある。悩みながら漕いでいって、結局蒲江町役場のある入り江まで漕いでしまった。あとで、距離を測ったら45キロもあった。漕ぎすぎである。どうりで翌日腕がだるかったわけだ。

 しかし、ここへ入ったのは正解で、すぐ前にスーパーがあって、安く総菜が買えた。

 28日は、前日の漕ぎすぎがたたって、腕がだるく、不調だ〜とつぶやきながらの漕ぎになった。3日ほど風呂に入ってなかったので(佐伯の最終日は風呂に行かなかった。港近くの風呂屋が600円という暴利をむさぼっていて、行く気にならなかったのだ。風呂代は500円までしか許せない)どうしても風呂に入りたく、延岡なら風呂があるだろうとみこんで入っていった。ここの港は河口にある。河口を入っていくと、造船所があったので、そこロスロープにあげてもらった。というのも、このスロープは角度が急で、これはあげられないと思って、一度通り過ぎていたからだ。他にスロープが見あたらないので、戻って来て、休憩中の造船所の皆さんに手伝ってもらって引き上げたのだ。浮島造船という造船所で、けっこう大きな漁船を造ってる最中だった。

 結局、夕方になって、造船所の人に風呂まで送ってもらい、やっと風呂にありつけた。はじめ行こうとしていた風呂がお休みで、連れて行ってもらったスーパー銭湯が「がらっぱの湯」。がらっぱとは、九州での河童の呼び名である。
 それで、ゆっくり風呂に入り、帰りに出発してからはじめて見た吉野家で牛丼の並に卵をつけ、さらにゴボウサラダまで食べて帰ってきた。途中でホームセンターによって、かねてから懸案になっていたランタンを購入した。なぜ懸案かというと、テントの中でホムペを作ったり、いろいろするのにランタンが必要だったのだ。前回の旅では、小さなランタンを持っていったのだが、単3電池を使うもので、暗いし電池がすぐなくなるしで、使い物にならなかった。それで今回は単1電池を使った懐中電灯をテントにぶら下げてランタンがわりにしていたのだが、これもしょせんは懐中電灯。テント全体が明るくなるわけでもなく、不便していたのだ。それで、単1電池を4つ使ったランタンを買い入れたのだ。これも、出発前に迷ってやめてきたもので、結局買うことになるのだ。こういう旅の原則は、いりそうなものはとりあえず買っておけ。いらなかったら送り返せばいい、ということになる。一度走り出してしまうと、補給には大変苦労することになるのだ。

 さて、それで今日の話である。今日は高気圧が抜けてしまって、午後から南西の風がやや強く吹いてくる予報だった。予報の「やや強い」向かい風は、かわうそ号では避難基準なので、昼まで漕ぐつもりで、6時に延岡を出た。とろとろと漕いで、12時に日向市の細島港に入港した。距離的には23キロしかないので、楽勝ペースである。
 ところが、ここでまずいものを見つけてしまったのだ。

 細島でも、高田造船という造船所のスロープにあげさせてもらっている。ここのスロープは、深いところが石積みになっているので、セメントのところまで潮が満ちるのを待って、かわうそ号を引き上げた。その時、少し石に当たったような気がしたので、何の気なしに船底を見た。すると、なんと船底にひびが入っているではないか! あわてて荷物を取り出し、普段擦れ止めに入れてあるマットを引っぱり出すと、ボドムパネルが5センチほど割れている。他にも、合板が割れるまでいってないが、エポキシにひびが入っているところが2カ所あった。どうやら、フネを引っぱり上げるときに使うころがあたって、外板がわれたらしい。塩ビのパイプを90センチほどに切って、ころにしているのだが、ときどきこれが斜めに入っていってしまい、角が船底にあたることがある。ちょうど、後ろのハッチ付近で、一番重量のかかっているところへ角があたるので、まずいとは思っていたのだ。

 このままでは出すのは危険なので、修理することにした。明日は、天気も良くないし、修理の必要もあるので、ここで停滞する。というより、3日も漕いでくたびれたし、ここは買い物にも風呂(450円)にも便利なので、ちょっとさぼるのである。 

むこうに白い波が見える。
ちゃんとした写真が撮れてないのは、
河童に余裕がなかった証拠。
でも、ビデオは撮った(笑)。
延岡で、CATVの取材を受ける。
浮島造船
このスロープはきつい。
おろすのは楽だったけどね。
今日見つけたクラック。
外板までいっている。
左下のシミも、クラックのあと。
まじー。
このころが斜めに入って、あたったと
思われる。1人でやっていると、そうなっても
対処のしようがないのだ。
予防策を考えねば…。