潮岬通過! しかし…

2003年3月30日

三和歌山県串本町、ただし西側滞在

 本日の結果。漕行23キロ、移動距離600メートル…。

 なんでこんなことになったかというと、潮岬をぐるっと遠回りして通過し、その後ひとつ西の港まで行って、また戻ってきたからだ。ああ、もう!

 朝、晴天、無風の好条件の中、いよいよ岬越えに取りかかった。昨日書いたとおり、潮の流れはさっぱりわからず、もうでたとこ勝負で、どうにでもなれ状態なのだ。まあ、本州最東端のどとが崎も越えたし、最北端の大間崎も越えたし、何とかなるであろうというきわめて楽天的、かついいかげんないつもの気持ちのまま突入したわけだ。
 意外にも、たいした潮にもあわず、岬の東側を抜け、そろそろと南側を通過し、ここをかわせば一気に北向きに進めるーっと思った灯台の下で、やっぱり流れに捕まってしまった。岩がぼこぼこつき立っていて、その間を水が蕩々と流れている。どこかで見たことのある風景だと思ったら、ラフティングに行った長良川の瀬と同じだ。もちろん、ラフティングは流れに逆らうことはない。
 さて、どこを通っていいものかと観察していると、渡船が岩の間を抜けていった。おお、あそこは通れるのかと思って、そちらに近づいていった。もちろん、一番外側を通ればいいのだが、そんなところはいったいどれだけの早さで流れているのか想像がつかない。
 ところが、近づいてみると渡船の通った岩の間も、ものすごい流れである。かわうそ号は右に左に向きをかえ、いうことを聞かない。まったく、どうしてこいつは、いつもいつも肝心な所で人のいうことを素直にきかんのだ。ひとつムチでも入れてやろうかと思ったが、そんなことをすると、ますますいうことを聞かなくなるのは目に見えているので、それもできない。見る見る流れに引き寄せられて、岩に当たりそうになるので、バックこぎをして支えていると、岩の上にいた釣り人が、もっと岸寄りに水路があると教えてくれた。
 じゃあ、そっちを通ろうと、かわうそをながめすかして、岸寄りに移動したが、今度はどこが水路なのかわからない。どこもかしこも岩だらけで、かすかにルートらしき所があるが、うねりが後ろから入って、波がくだけている。しかし、どう見てもそこしか進むところがないので、思い切ってつっこんでみた。なにしろ、波に押されてしまって、戻るに戻れないのだ。もし間違っていたら、そこでお終い、である。
 入り口のすぐ横に、すでに岩が出ていて、そいつに2度ほどぶつかったあと、なんとか水路らしき所に入り込んだ。たしかに、先に向かって道が開けている。たぶんここでいいんだろうと、少しほっとしながら漕いでいくと、別ルートから入り込んだうねりが、水路に流れ込んでいるところがあって、かわうそ号の先端がいきなり左に持っていかれた。幅3メートルもないところなので、なすすべもなく岩に当たってしまった。パドルで岩を押して、フネを岩から引き離し、流れ込む海水のタイミングを見て、一気に通過した。さっきの流れといい、この水路といい、すごいところだ。
 なんとか迷路のような水路を抜け出して、潮岬の西側に出て、岬越えは終わった。所要時間は1時間半といったところだが、1日漕いだような気分だった。

 しかし、もちろん今日はこのまま終わらなかったのである。潮岬を無事に越え、さて本日の目的地、周参見まで行くぞ、と漕ぎだしたのはよかったのだが、なぜかそこから南西の風がびゅんびゅん吹き出し、とてもではないが西に向かってなんか漕げなくなってしまったのである。それでも、今年はやる気の河童であるから、4時間風に向かって漕いでみたものの、どうしても岩場が越えられず、やむなく風下にあった有田港に逃げ込んだ。しかし、ここでまた2時間まったものの、風は止む気配を見せなかった。天気予報を確認すると、明日は今日より強い南西風がふくとか。となると、またしても停滞の可能性が高く、風呂も店もな〜んにもない有田で停滞するよりも、たった3キロ戻れば、温泉もコンビニも、モスバーガーまである串本に行けると思って、戻ってきたのだ。
 もっとも、朝出た港ではなくて、西側の港なのであるが。ちなみに、その距離600メートル。ああ、よく漕いだ。

潮岬。
この灯台の下が、恐怖の舞台である。
二度と通らねえ。
これがその水路。
存在はうわさに聞いていたが、まさか
通るとは思わなかった。
みりゃわかるが、ここも流れてる。
それでも写真を撮る河童(笑)。
有本の港にて。
昨夜弁当作ったのに、間違えてフネの
中に入れてしまった。しかたなく、パンを
かじりながら、どうしようか考えている。
頭の中は、今夜の風呂をどうするかということ。