ふう、やっと通信が回復した。出航の知らせは聞いたけど、ホームページは出航以前とかわらず、いったいどうなっているんだと思っていた皆様、お待たせいたせました。やっと電波の届くところへたどり着きました。
というのも、志摩半島から紀伊半島の北半分というのは、リアス式海岸になっていて、日本で一番電波状態の悪い地域なんだな。なかにはH”どころか携帯も通じず、大変な目にあってしまったのだが、もう大丈夫。お待たせしました。
ただ、少しお断りしておくと、今回は無理して電波の通じるところへ移動したりしないことにしました。前回はそういう点、けっこう努力していたのですが、今回は高速かわうそですので、電波が通じないときなどはホムペの更新が少々滞ることもあると思います。あらかじめご了承ください。その場合は、誰かに頼んで掲示板に動向を書き込んでもらうようにはしますけどね。
さて、それでここまでの行程ですが、まず24日にやっと錦を出て、さて新鹿まで漕ぐぞ〜と出たまではよかったのだけれど、天気予報では波の高さ2.5メートル。こいつが岸の岩に当たってはね返り、三角波がばんばん立っている中をうーむと思いながら漕いでいると、三木崎の手前でラダーがきかなくなった。右ラダーはきくけど、左ラダーがあたらない。コントロールケーブルを手で引っぱってみるとブラブラ。前回の旅で切れかかったところを切って、結んでおいたのがはずれたらしい。もっとしっかり結んでおけばよかったと思っても後の祭り。こういう事態になったら一番近い港に緊急入港するしかない。というわけで、180度回頭して尾鷲市早田という、恐ろしく小さな集落に入っていった。港はそこそこ大きいんだが、人家が少ない。雨も降り出したので、ここの公園みたいな所へテントをはって寝た。
翌25日、波はかわらず高かったが、風がなかったので出航。目指すは新鹿。なぜ、そんなに新鹿をめざすかといえば、新鹿には温泉があって、風呂に入れるからである。
そうそう、ここで書いておかなければいけない重要なことがあった。錦には風呂屋が一軒ある。ある、というか、残っているといった方が正確なんだろうが、ここの風呂屋には男湯、女湯の表示がない。今後、行く人のために書いておくが、向かって右側が男湯である。河童がウソを書いていなければ。
さて、そうしてばっしゃんばっしゃんになりながら新鹿に着いた。目指すは温泉である。しかし、温泉に行く前に食堂があった。温泉に入る前に、腹ごしらえでもしようとその食堂に入り、あたしか温泉はここからすぐなんですか?と聞いたところ、驚くべき答えが返ってきた。なんと、あたしか温泉は経営不振のため閉鎖しているというではないか! いったい、なんのために大波の中を漕いだのか…。
26日は、本当は停滞する予定だった。前夜の天気予報では、北西の風が強く吹き、とても出せるような予報ではなかった。それで、のんびりと寝ていたのだが、8時頃になってやってきた漁師と話をしていると、沖は凪だという。明日の方が荒れるぞ、と聞いて、あわてて自転車に乗った。なぜかというと、新鹿は携帯が通じず、177を聞くには、NTTの前にある公衆電話までいかなければならなかったからだ。予報を聞いてみると、低気圧が昨夜の予報より早く抜けてしまったらしく、予報がかわっている。それで早速準備をして、1000に出港。
ところが、あわてて出てきたので、新鹿の次に入る港のことを、きちんと考えてなかった。というのも、新鹿から西へ来ると、すぐ近くに大泊という港があって、そこを過ぎると20キロほど七里御浜と呼ばれる砂利浜が続いていて港がない。余裕を持って20キロ5時間と考えると、日没までに入れるか入れないか微妙な線なのだ。
しかし、どうせ大泊に入ったところで、また停滞になるのなら、日没ぎりぎりでも先に進めということで、七里御浜を超えることにして漕ぎだしてしまった。
しかし、まあ毎度のパターンといえば毎度のパターンで、5キロほど過ぎたところでトラブルが起こった。なにか後ろでぽちゃぽちゃ音がするのでおかしいと後ろをふり返ると、デッキの上にしばりつけておいたガソリンタンクが落ちている。こいつがぷかぷか浮かんで、かわうそ号についてきていた。当然、フネは重くなって進まなくなった。普通、かわうそ号の巡航スピードは時速5キロほどなのだが、こいつのおかげで3キロほどに。タンクを上に上げればいいだけの話であるが、なにしろ身動きがとれない身なのだ。
浜上げしてなおそうかと、一度は浜に近づいてみたものの、いくら凪いでいるとはいえ外洋に面した浜である。海岸では不気味に波が巻いている。結局、あきらめてそのまま漕ぐことにした。ここから先は、まさに修行僧状態で、語るべくこともない。夜間航行を覚悟したものの、なんとか日没ぎりぎりで鵜殿港に入港した。いや〜、まいった。
ここから川を渡れば新宮なので、あとで風呂に入りに行く予定。鵜殿村も、大きな製紙会社があるおかげで、スーパーもホームセンターもある。やっと、ここで足りないものや、忘れてきたものの補給ができる。ついでに、やっぱりいらなかったものも、宅配便で送り返すつもりである。自転車外に出したのに、荷物が入りきらない。かわうそのダイエット作戦である。
尾鷲市早田にて。 ここは携帯、テレビともに利用可。 |
|
三木崎沖。 荒れてる。 |
|
新鹿にて。 このあと、タンクが落ちる。 |
|
この状態で15キロ漕いだ。 手にまめが3つでき、筋肉痛になった。 ああ、腹が立つ。 |