かわうそ号、さらに強化中

2003年2月18日

 近頃は、なにかにつけ「ベストエフォート」という言葉が流行りのようである。ADSLという、インチキみたいなブロードバンド技術と一緒にこの言葉も広まりだしたのだ。日本語に訳すと「理論上の最大値」だとかいう説明がついているが、ADSL技術に関して、多少の知識を持つ河童から言わせてもらえば「運がよければ」とか「かなりのウソは混ざるが」という言葉になる。河童の使っているADSLなど、ベストエフォートで8M出るらしいが、電話局から1キロという「好条件」にもかかわらず、出ているのは5Mがやっと。8Mはまさにベストエフォートなのである。
 これより少し前、これと同じようなウソをついていたのが液晶モニターで、取扱説明書のすみっこに、ごく小さな文字で「液晶画面には、たまにつきっぱなしや点灯しない画素があっても99.99%以上は正常ですので、これは故障ではありません」というようなことが書かれていた。本当はつきっぱなしや点灯しない所があれば、十分欠陥商品なのだが、それをはじめっから宣言し、どうどうと売ってしまうという逆ギレ商品のはじまりがこれであった。だって考えてみたらいい。「この飛行機は99.99%以上墜落しませんので安全です」とか「このライオンは、99.99%以上噛みませんので檻に入っても安全です」とか言われたらどうする? (スペースシャトルは250回に1回の事故率が予測されていたらしい)
 まあ、いろいろな理由があるにせよ、このあたりからおかしくなってきて、いまやベストエフォートである。もちろん、こんな商品がどうどうと世の中に出回っている以上、我々としてもこれを活用しない手はないのであって、たとえば、女の子に何か買ってあげるような話をしても、最後にベストエフォートサービスです。と一言言っておけば、たとえ本当に買ってあげなくても「ベストエフォートですから」と言い訳ができる。学生は今度のテストで何番を取る!などと宣言しておいて、小さな声でベストエフォートで、と付け加えておけばいいのである。もちろん結婚する前に奥さんに(うっかり)言った言葉なども、すべてベストエフォートなのである。
 ちなみに、このベストエフォートの際たるや河童が生業としていた塾の講師で、これなぞまさにベストエフォートな世界なのである。○○中学何人!とか書いてあったって、みんながみんな合格するわけではない。同じ様に授業をしていたって、受かるやつもいれば受からないやつもいるのである。河童の家庭教師としてのベストエフォートは、あのラ・サール中であるが、もちろんこれなぞまさに(河童の)「運がよかった!」というやつである。できる生徒は楽なのだ。

 さて、かわうそ号であるが、ようやくフレームとキールを接着してきた。これの型出しに苦労していたのであるが、結局いつもの通り、隙間はエポキシで埋めればいいいや、ということにしてしまって、ガタピシに空いたところへ、エポキシパテを押し込んで帰ってきてしまった。どうせこの後、ガラステープを積層して強度を取るので、芯だけできればかまわないのである。初めは本当に芯だけ入れて、あとはガラスの強度で持たそうかと思って、バルサでやろうかと思っていたのだが、かえって材料費が高くつきそうなので、そこいらで売っているラワン(ちなみにすっかすかの偽ラワンである。ホームセンターで売っているラワンはほぼ100%偽物で、本物のラワン材は資源が枯渇してほとんど手に入らない)で作ってみた。

 ところで、自作者には大きくわけてできばえの美しさを自慢する技巧派と、なんでもいいから水に浮かぶものを作って遊ぶ悦楽派に別れる。前者はフネのできばえを自慢し、後者は飲んだビールの量を自慢すると言ったところが大きな違いである。
 言うまでもなく河童は悦楽派の一派、河童流家元であって、いいかげんにフネを作ることには人後に落ちない。その証拠に以前も話したが、かわうそ号は左右歪んでいる。しかし、この河童を上回る悦楽派の自作者がいて、少々気になっている。誰を隠そう、かわうそ号が軒を借りているG藤氏である。かわうそ号のとなりにときどき写っているのが、いまG藤氏が作っているフネなのであるが、これがまた河童がうなるほどの自作ぶりなのである。
 なにしろG藤氏、もともとは模型のボート作りの出身で、フネなんてものはまず水に浮けばよい。作ってみて調子が悪ければ、もう1隻作ればいいのだ、という哲学の持ち主である。いまのフネも、自分で厚紙の模型を作って、あとは目分量で作りだした。まったく、G藤氏のやることをみていると、目からウロコが落ちる思いがする。自作なんてものは、しょせんはガキの工作の延長。あれこれ組み上げて、形あるモノを作っていくのはおもしろいぞ。難しいことなんか後回し。なにはともあれ作ってしまえ。
 そんな事を強烈にアピールしてくれるのである。こういうやんちゃな気持ちを70過ぎて持っているG藤氏はやっぱりすごいのである。

 ところで、河童のパドル誰か知りませんか? どこかにしまってあるはずなのに、そのどこかがわからなくなってしまった。修理に出さないといけないのにどこに隠れている。早く出てこい!

今日の作業はサンダーを使うので、ひさびさに
防塵装備をした。
とおもったら、ゴーグルを買い忘れた。
目がいて〜。
前ハッチは発電機が収まるので、
フレームの位置出しを慎重にしないといけない。
2ヶ月おいてあったけど、チョークを引いて
回したら、すぐかかった。
非常用に使う人は、月に一度は回しましょう。
3月からは毎日です。
サンディングのあと。
コクピットの一番前まで手を伸ばしてサンダーを
つっこんだ。当然、頭からほこりをあびた。
これがフレーム。
下の欠けた部分にキールが通る。
大きく開けてあるのは、ビルジ(水)が通る穴を
兼用しているから。
こうしないと、ビルジがフレームで止まってしまう。
穴の形が歪んで見えるのは、デジカメのレンズの
いたずらで、けっして河童が作業に飽きて、
いいかげんに切ったからではない。
接着したところ。
この後、ガラス繊維を積層する。
前に立てに入っているのは押さえの棒。
あとで取る。こんなところにフレームがあったら、
ベイルアウト(?)できない。