キャンプの話(その2)

2002年11月8日

 一般の人にはあまり知られていないが、「旅行人」という雑誌がある。これはバックパッカーと呼ばれる貧乏旅行をする人たち向けの情報誌で、世界各国の「ウラ」情報がたくさん載っている。もちろん河童も、この雑誌の定期購読者で、毎号(なにしろ年に10回しか発行されないのだ。なぜかというと、2ヶ月お休みの月があって、その月は発行者本人が旅に出ている)楽しみにまっている。この雑誌の8月号の特集が「旅で英語を話したい」というもので、旅で使う英語の話が載っていた。ふむふむと思い読んでいたのだが、この中で英語は一枚岩ではないという記事が載っていた。つまり英語といってもいろいろな英語があって、各地方によって英語が違うのだと言う話だ。学校で教えられる通り、アメリカ英語とオーストラリア英語は違うし、アメリカ英語とイギリス英語ももちろん違う。旧植民地にいくともっとわけが分からなくなっていて、シンガポールではシングリッシュという英語が話されていて、シンガポール政府はこれをただすのに必死である。旅行人に書いてあったのは、日本人が日本語訛りの英語を話すのは当然のことなので、遠慮せずに話すが良い、ということであったが、もちろんその通りで、細かい発音や文法なんぞにとまどっていたら英語なんぞ話せないのである。
 ちなみに、河童はアメリカに行った時のルームメイトの影響で、スペイン語訛りの英語を話す。パナマから来ていた彼らの英語たるや、スペイン語の読み方をそのまま英語に取り込んでいて、はじめは何の事やらさっぱりわからなかった。たとえば「important」は「インポルタント」、「car」は「カール」である。ようするに「r」をそのまま「ル」と発音するのだ。「car」は「カー」だろうといっても、強情に「カール」であると言い張った。
 しかたがないので数週間後、わざわざ日本から例のお菓子を送ってもらい、彼らに差し出した。
「ディス イズ リアル カール」

 さて、今回はキャンプの話その2として、マットの話をしようと思う。

 キャンプにマットは欠かせない。なぜなら、河童がテントを張ったのは、ほとんどが漁港のスロープの上で、下は直にコンクリートであった。そこに布を2枚(テントの下にはシートを敷いたので。この件についてはテントの話をする時に書く)置いただけでは、コンクリートに直に座るのとかわらない。ましてやこの上に寝ることなど、ほとんど不可能である。なんどか、やむを得ずマットなしで寝たことがあったが、単に硬いというだけでなく、コンクリートの熱が直接伝わってきて、非常に不愉快であった。

 河童が持っていったのはモンベルのキャンピングマットである。これは、中にスポンジが入っていて、伸ばしてバルブを開くと勝手に空気が入ってくれるという、自動膨張型マットである。さすがに全部は空気が入りきらないので、自動的にふくらんだあと、口で空気を入れてやる必要はあるが、最大厚さ5センチにもなる強力なマットなのである。
 さすがに厚さがこれだけあると、クッションもいいし熱も伝わってこない。なにしろ停滞の時には、一日中寝ていることだってあるので(他にやることもないし、できるだけ体を休ませておきたい)快適な寝場所を持つ意味でも、このマットは快適であった。

 ただ、やはり快適なぶん、どうしてもかさばってしまい、空気を抜いて丸めても、直径16センチ長さ60センチの円筒形にしかならない。おもちゃが一杯につまったかわうそ号の中には入らず、防水パックに入れてデッキ積みとなった。
 しかし、かさばろうが重かろうが、キャンプで一番重要なのは「睡眠」と「食べ物」なので、やはり厚くてしっかりしたマットは必需品だと思うのだ。

 次回は、もう一つの重要事項「食べ物」の方について話をしようと思う。 

雨の日の風景である。
マットの上しかいられないのだ。
コーヒーを飲むのもマットの上。