河童出戻る

2002年10月15日

青森県西津軽郡鰺ヶ沢町

 今朝は、この秋一番の冷え込みだったとかで、旭川では初氷を観測したとかラジオでいっていた。当然、青森も寒くないわけがなく、今朝は寝袋の中でも寒かった。
 こう寒いと、速く南へ行こうと思うのは当然のことで、いきおい多少天気予報が悪くても出ていくことになる。それでもって、そういうときに限って天気予報というのは当たるもので、今日はさんざんな目にあった。

 今日、天気予報は南西の風が吹くといっていた。ちなみに次の目的地、深浦は鰺ヶ沢から大戸瀬崎という岬をまわり、ちょうど南西の方向にある。さてさてどうしたものかと考えたが、それほど強くもならないであろうと、希望的観測で出る準備をしていた。通りがかった漁師は、
「今日は風があがるぞ」
と言っていたが、明日は雨が降って停滞になりそうなので、なんとか進もうと出てしまったのだ。

 結果、3時間ほどこぎにくい波の立つ中8キロほどこいだところで、南西の強風が吹き出した。予報では「やや強い」とか「強い」という形容詞がついていなかったはずなのに、海面は真っ白になってしまった。そのうち風が落ちてくるのではないかと、1時間こいでみたが風はいっこうに止まない。GPSを見ると多少は目的地に向かっているものの、到着までに24時間ほどかかりそうだった。もちろんその前に、それでなくても疲労がたっぷりたまって、乳酸の汗が出ている河童の体が動かなくなるのは必至で、そうなった場合、あの十三湖に流れ着くおそれがあった。冗談ではない。あんな何もないところへ流れ着いてたまるものか。

 ということで、11時半に進路を戻し、2時間かけて鰺ヶ沢に戻ってきた。帰ってくる途中、ラジオの天気予報は「津軽地方、南西の風がやや強く」と予報がかわっていて、雨も降り出すし、結局のところ、出るような天候ではなかったのだ。
 びしょぬれになって帰ってきた河童が、すぐ向かいの食堂に行って、肉炒め定食850円なりを食したとしても、誰からも非難は受けまい。

 明日も、午前中雨の予報なので、停滞する予定だ。ここ鰺ヶ沢町は、舞の海の出身地で、記念館があるらしいので行ってみようと思っている。やはり、物見遊山しないと読んでいる人もおもしろくないと思うので、明日はぜひ「取材」に行ってこようと思う。あと、この町にあるかどうかわからないのだが、防水型のラジオを探さないと。テントの中用には1980円の安物ラジオを使っているのだが、混信がひどくてまるで役に立たず、こいでいる間は、千葉のhanimaruさんからもらったラジオをジップロックに入れて使っていたのだが、さすがに壊れてきて天気予報の時間になると沈黙するようになってしまった。
 昼間の情報収集をラジオに頼っているのに、実情はこんなものなのである。某社から出ている山海用のラジオは4万もするし、こんな1ヶ月分の生活費を超えるようなラジオを買うわけにもいかない。やはり、ここはお風呂用の防滴型ラジオぐらいでがまんするしかないのだ。
 問題はだな、異常に弱い某公共放送の地方局の電波と、異常に強いロシア語と朝鮮語の電波だ。いったい何Kw出してんだ、あいつら?

今日は写真がありません。
あまりに風が強くて、パドルがはなせなかったのだ。
事態がどれくらい深刻だったかわかると思う。
もう、腕が動かない。