昨日から、大間の神馬さんに拾われて、すっかりお世話になっている。全然、見ず知らずの人の家にいるわけで、本当にいいのだろうかと、ふと疑問に思ったりするのだが、北国の人たちは本当に暖かく、凪るまでいたらいいさ、と口々に言うのである。
しかし、いくら河童でもさすがに何もしなくて居候を決め込むわけでもなく、ちゃんとお手伝いはしているのだ。神馬さんは漁師で、先日の台風で打ち上げられた昆布を干している最中なのだそうだ。昆布というのは、都会に住んでいる人は知らないだろうが、海から引き上げてきたあと、浜で干さないといけない。それも、一枚一枚重ならないようきれいにならべていく必要があって、もちろんそれは人手に頼るしかない。そこで、当然お手伝いをすることにした。猫の手も借りたい時なので、むろんのこと河童の手だって、多少は役に立つのである。
そこで、朝昆布をならべるのを手伝ったのだが、いやこれが重労働だった。濡れている昆布はけっこう重くて、それを一抱え手にして、一枚一枚ならべていくのだ。重なるとくっついてしまったり、乾きが悪くなるので、かなり気をつかいながらならべないといけない。足元は、砂利がしいてあってでこぼこだし、そんな中、中腰になって昆布をおいていくのである。1時間半ほどかかって、とりあえずある分は並べ終わった。一面昆布だらけである。
こうして昆布を干すわけだが、当然夕方になればこれを取り入れなければならないわけで、またしても中腰になりながら、一枚一枚昆布を拾っていく。乾燥して小さくなった昆布は、拾いやすいのであるが、今度は固くなって棒のようになってしまい、これがまた持つのに大変なのである。ぽろぽろと落としながら拾い集めていたが、なるほどこれは昆布、少々高くてもしょうがないなと思った。天然昆布なんて、自然に生えてるものを取ってくるだけだけど、あとの手間がかかる。
そうして、昼間は昆布干しを手伝っていた。夕方は、もどき吉岡さんが夕食に誘ってくれて、またしても一杯飲んできてしまった。いまは、飲み終えて帰ってきて、いい気分でこれを書いているのである。いやいや、下北半島は暖かいところですぞ。
昆布はこうして乾燥させるのだ。 一枚一枚手で広げる。 この中の3分の1ぐらいは河童が敷いたもの。 |
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乾燥した昆布を集めているところ。 朝、せっかく並べた昆布を回収しないといけない。 すべて人手に頼るという作業。 |
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今日の空模様。 雨こそ降らないものの、風は西から強かった。 |
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もどき吉岡さんと記念撮影。 二人とも、すっかりごきげんである。 いやいや、こうして友人が増えていくのは、 旅の快感なのだ。 大間崎到達を記念して、これまでお世話になった人に 絵葉書を書いたのだが、書けども書けども終わらなくて いろいろな人に世話になったと実感した。 ども、いろいろありがとね。 |