河童パン制作中

2002年9月25日

青森県六ヶ所村

 まだ六ヶ所村にいる。なんだよ、いつになったら尻屋崎を越えるんだよなんて思うやつは素人で、こっちは台風19号くずれの低気圧の影響で、大変な天気になっているのである。台風になったのは一瞬で、すぐ低気圧になってしまったのだが、その後東海上で思いっきり発達しやがって、うねりがどんどん高くなっていった。尾鮫漁港の防波堤も、ときどき打ち寄せる波がちぎれて飛んでいる。さらに、この低気圧、大陸から寒気を引っぱりこんでくれて、天気が恐ろしく不安定になっている。昨日など、5回雨が降って、6回太陽がでた。6回目に太陽がでた時は、さすがにこれで終わりだろうと、丘を登ったところにあるコンビニ兼喫茶店のような店に行って、23日分の画像をあげているうちに6度目の雨が降り、さらに7度目の太陽がでて、さらにもう一度雨が降り出した。もう、めちゃくちゃなのである。おかげで、せっかく干してきた洗濯物は、すっかり濡れてしまい、いまだ乾いていない。
 今日はいくぶんかましで、朝、一度雨が降ったきりで、その後晴れているが、波は昨日と同じぐらいに高く、港の北側にある離岸堤など、朝から真っ白に波がわきかえって、サーファーがたくさん浮いていた。
 漁師によると、明日も波は残るぞ、ということらしいが、天気予報では1.5メートルということで、風も南が吹いてくるようなので、明日は出られるのではないかともくろんでいる。

 ここのところ、自炊しているのは前にも書いたとおりである。夜、ご飯を炊く時に3食分たいて、翌日の朝と昼の分はどんぶりにつめておく。それを食べていたのだが、飯というのは冷めるとうまくない。というより、固くなってしまって、洋上で食べるのは難儀なのだ。もう一つ問題があって、米の飯を炊くと、ご飯がくっついて、あとでナベを洗うのが大変なのである。移動中はとくに、ナベを洗う時間もおしいから、できるだけ楽にすませたい。
 そこで、この悪天候のうちに、以前から考えていたことをためしてみることにした。なにをするかというと、パンを焼くのである。パンの方が軽いし、保存もきくし、冷めても食べられる。それに消化もいいのだ。
 ところで、もちろんのこと河童はパンを焼いたことがない。そこで、どうやってパンを作るのか、ネットで調べた。そこで、パンを焼くには小麦粉とイースト菌が必要なことがわかって、さっそく買ってきた。両方でも500円ぐらいのものだった。さて、それを持ってテントに帰り、小麦粉とイースト菌を混ぜ、ごにょごにょとパンらしきものを作ってみたのである。オーブンなぞ、当然持っていないから、遠野で買い込んだ深いフライパンにふたをして熱し、オーブンの代わりにした。
 待つこと25分。なんとかパンらしきものが焼き上がった。手に取ると、パンと言うほどふくらんでおらず、どちらかというとインド料理のナンに近い。食感もナンである。そこで、レトルトのカレーを温めて、パンもどきナンをこれに付けて食べた。どうしてどうして、なかなかいけるではないか。まだまだ工夫が必要だが、ひとまずパン作戦は成功したのである。

 地図をよく見ると、ここから14キロも西へ向かえば陸奥湾にでてしまう。これ以上停滞するようなら、トラックでも借りてきて、陸奥湾に行っちゃえという気がしてくる。なにしろ、六ヶ所村にはレンタルの重機屋とかは、もちろんたくさんあるので、行こうと思えば簡単である。いや、そんなもの借りなくても、漁協のおっちゃんに頼めば一発だろう。なぜだか知らないが、大型のトラックが何台も港に置いてあるのだ。すべては明日の天気にかかってくるのである。しかし、北の空はわからん。

昨日の朝、虹が出た。
雲を見れば、どんな天気か想像がつく
だろう。
ナン、いやパン。
ご飯とどちらが楽か?