河童、ついに捕獲か?

2002年7月31日

福島県浪江(なみえ)町請戸(うけど)港滞在中

 ついにこの日がやってきた。朝から快晴、無風の空模様である。気合い十分の河童は、7時に颯爽と出航していったのである。目的地は、とりあえず22キロ先の富岡港である。

 富岡港のすぐ手前に、福島第二原発がある。福島県は福井県と並んで原発の多い県で、ここで作られた電気は首都圏に送られ、東京のヒートアイランド化を助けているのである。当然、警戒も厳しくて、巡視艇が停泊していた。東海村の件もあるので、また動くかなあと思ってみていたら、今度はなんとヘリが飛んできた。かわうそ号の上を旋回したあと、しばらく横にホバリングしていた。

 と、ここまではいいのである。富岡まで行くという件は、第二管区海上保安本部のオペレーションに連絡してある。ヘリが飛んでこようが、巡視艇がいようがどーでもいいのである。しかし、軽い追い風が吹き出して、昼前には富岡に着いてしまった。ここのところ停滞が多かった事もあって、もう一つ先をねらうか、という気になるのは当然である。この辺りは港がそれほどなくて、富岡の向こうは18キロ先の請戸になってしまう。しかし、追い風で時速6キロ出ていたこともあって、3時間じゃ〜んという気で突っ走ってしまった。
 気になるのは、6時間までしかもたないエンジン(河童の腕力)と、海上保安庁である。富岡までなどといいながら、実は請戸まで。まあ、任意のものだし、予定変更はよくあることさ、などと勝手に解釈してかわうそ号を進ませた。

 ところが、である。福島第一原発の前に来た時、遠くを通っていた巡視艇がこちらに向かって来るではないか! ん〜、いつもの監視かなあ、などと思っていると、それどころではない距離に近づいてきて、船首に人が出てきた。うわっちゃ〜、ついに河童捕獲か? やっぱり、原発の前を通る時は、ちゃんと連絡した方が良かったのだろうか?
「すみませーん、小名浜海上保安部ですがー」
さいわい、捕獲されることはなかったが、出発地、目的地を聞かれて、
「え〜と、2管のオペレーションには富岡って言ってあるんですけど、請戸まで行きます」
と答えた。じゃあ、気をつけて行ってくださいね、と言われた後に、
「そこ、原発ですから入らないでくださいね」
と付け加えられた。うーむ、やっぱり原発の前を変なもので通る時は、ちゃんと連絡しておいた方が良さそうだ。

 そして河童はと言うと、やはりリミットの6時間を超えて漕いだおかげで、ばてばてになっている。おまけに、請戸にはコンビニもなく、明日の食料の買い入れができなかった。明日も天気はいいらしいけど、昼飯がないから、漕ぐのは昼までだな。

第2原発の前で飛んできたヘリ。
福島第2原発。
まわりが丘になっていて、事故の際には遮蔽物になる。
うまいところを見つけたもんだ。
第1原発。
ここもまわりは丘陵地。
ちなみに、原発の前に作ってある港は巨大なもの。
でも、入っていくと怒られるらしい。そりゃそうだろう。
ついに河童捕獲か?と思った瞬間。
無事、請戸に到着。
かなり疲れたが、その後、食堂もコンビニもないことを知って
さらに疲れた。