能登2回目

  2004年6月17日

名古屋に引っ越しました

 ようやく名古屋に引っ越した。というか、事実上引っ越しは2週間前に済んで、6月に入ってからずっと名古屋に借りたアパート(日本風に言うとマンションなんだけど、英語の意味ではワンルームはマンションっていわないって)で暮らしているのだが、うっかり前の住所の転出届を忘れていて、昨日になってようやく住所を変更し、めでたく名古屋市民に復活したというわけ。住民票が移せて、初めて免許の住所が移せたりするわけで、これでようやくレンタルビデオが借りられるわけだ。もっとも、14インチのテレビで映画見てもつまらないので、ほとんど見ないんだけどね。前に、うっかりシネマサイズの映画を借りてきて見ようとしたら、画面の上下が黒い帯になってしまい、真ん中の縦10センチぐらいのところに、小人のような人間がちょこまか動いていて、大笑いしてビデオを止めたことがある。映画見るんなら、最低でも40インチぐらいのワイド画面が欲しいねえ。

 さて、能登の続きである。前回、怒濤の移動編を書いただけで終わり、そのあときゅうりさんやら、いろんなことが続いて全然書いてない。全然カヌーと関係のないところからも、早く能登の続きを書けと急かされたりしていたので、今回は能登話である。

 真っ暗になってから海岸に戻った一行は、キャンプ地を求めて砂浜に降りていった。なにしろ名に負うなぎさハイウェイなのであるから、ハイエースのロングが降りていったところで、砂浜はへこみもしない。前進あるのみである。ところが、そう思ってつっこんでいったのだが、固まっているのは水分をたっぷり含んだ波打ち際だけの話で、波打ち際から少し上がると、意外に砂はもろかった。すっかりいけいけになっている我々とその車は、その気分とはうらはらに砂に埋まり、闇夜の中で車を押すことになったのは言うまでもない。
 ともあれ、車を止めると、それぞれにテントを張って就寝についた。本当はもう少しなにかしようと思っていたのだが、急に気温が下がってきて寒く、それどころではなかった。

 翌朝、夜明け頃に目を覚ましてテントから顔を出すと、我ら一行だけでなく、あちらこちらにテントが見えた。早速テントを撤収し、出航の用意をする。風は沖だしの北東が少し息をしながら吹いていた。ああ、この風は上がるな、と心の中で思ったが、口に出すのはやめておいた。なにしろ今日が初めての海デビューという、O島さんが一緒に漕ぐのである。後学のためにも、「風と坊主は10時から」ということわざを実感してもらうのも悪くない。陸上サポートもついててい、どこでだってピックアップ可能だし、ためらうことは何もないのだ。
 内心そう思いながら波打ち際までフネを運び、水平線をながめていると、彼方に見えるそれはしっかりギザギザになっている。沖、吹いてるな〜。これはどこまで行けるかわからんわい。下手したら、出発してすぐ引き返すことになるかもしれんな〜、と思ったが黙っていた。もちろん、ノーサポート、ノーヘルプのいつもの旅なら出航しない。

 じゃあね〜などと手をふりながら、砂浜から出発した。見送りのある出発がそもそもめずらしいのだ。2年も旅しているけど、見送りのある出発は10回もない。いつも思うのだが、カヌーは見送られるのに向いてない。後ろが見られないからである。見送りする人の写真を撮ろうと思ったが、フネを返さないとできないので、あきらめてそのまま進んでいった。
 目の前にある漁港をかわすと、そのまままっすぐ北上である。荷物の入っていないかわうそ号は、いつもより10センチほども浮き上がって、その分、パドルが入る角度が深くなっている。いつもよりずっと大きくパドルを動かさないと、ブレードが水に入らない。確かにフネは軽いんだが、腕の動きは大きくなった。ときおり、コクピットの縁に指をあててしまい、そのたびに飛び上がるほど痛かった。
 ほどなくして、思った通り北東から風が吹いてきた。針路方向の斜め前からである。やっぱりな〜と思いながら漕いでいるのだが、先を行くO島さんは、かなり小さくなる距離まで行ってしまって、戻ってくる気配もない。かわうそ号はというと、向かい風と波を受けてばっちゃんばっちゃんの状態である。あ〜、O島さんが戻ってくりゃ、そのまま出発した砂浜に帰って、「今日は風が悪いからダメだね」っていって上がれるのに〜、と思いつつ漕いでいった。向かい風になると、普通のカヌーより1.5メートル長いかわうそ号なんぞ、まったく動かなくなる。まして、風波が立って、ぱちゃぱちゃの海況になってくると、ばんばん波をたたいて漕ぐだけムダなのだ。荷物がつんである時は、それでもまだ波を切っていくからいいのだが、あいにく空荷で、船底は情けない音を立てて波をたたいている。あ〜あ、O島さん、どこまで行く気だろう。まいったなあ。
 ぶつぶつ言いながら、後ろからついて行くかわうそ号なのであった。

                                     また続く。

風呂に入って、飯を食って、酒屋でビールを
買ってきたら真っ暗だった。
ちなみに、河童ではない。
テントを張ったら速攻就寝。
寒くて、テントの外に出る気がしなかった。
翌朝、さみーなーといいながら準備。
記念撮影。
海に出て行く人は、出発前に必ず写真を
とったほうがいい。最後の写真になる可能性が
少なくない。
漕いでる河童。
非常にめずらしい、というより、これが初めて?
オレンジのキャップは前日、モンベルの
トライアンドキャリーで買った。
ねえ、モンベルでオレンジのメッシュキャップ
出してよ。ウチのヨットで使いたい。
見たらわかるけど、荷物がないので
めっちゃ浮いている。
これまでとポジションが違うので、パドルが
うまく入らない。これは面倒だ。
これでわかって欲しいのは、目立つのは
旗だけどいうこと。
ヨット乗りの河童はずいぶん主張しているが、
シーカヤックには旗をつけよう。
視点が高いと、カヤックは目に入らないんだよ。