冬眠中
上の方にきらきら見えたのは、まぎれもなく水面だった。なぜ、あんなところに水面が…などと考えている場合ではない。息を止めて、水の上らしいところへ上がっていった。きらきら光る壁を突き破ると、そこには空気があった。立ち泳ぎをしながら呼吸を整えると、ようやく状況が理解できた。おしっこしながら気を失い、そのまま海に落ちたのである。危ないなあ、と人ごとのように考えたが、とたんに冷たさが染み渡ってきた。ばしゃばしゃと、スロープまで泳いで再上陸したものの、びしょぬれである。テントからタオルを取り出して、水のところまで行き、頭から水をかぶった。この港には、自噴している井戸があって、24時間パイプから水があふれている。その水を頭からかぶった。いくら夏のこととはいえ、風が強くて出られないという日である。寒いのなんのって、酔いもいっぺんに醒めてしまった。
その後、着替えをし、また井戸に行って洗濯をし、ようやく落ち着いてテントに戻ったのである。
ちなみに、2年の航海を通して、一度も海の上で危ないと思ったことはない。危ないような事態にならないように、あらかじめありとあらゆることを想定して準備しているし、出航判断も常に危なめに見積もって決めているので、無事だったのだと思う。しかし、河童にとっては、陸のことの方がはるかに危なかった。そしてこの後、さらに危ない秋田に入っていくのである。そう、酒どころ秋田である…。
続く
引っぱるな〜。 | |
ジェフとハダスの様子。 | |
河童には、こういう写真が 一枚もない。 |
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高知の天狗さんとイタリア料理を 食べたらしい。 河童はここで焼肉をごちそうになった。 ごちそうさまでした。 |
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ジェフって子ども好きなんだ〜。 |