パソコン修理中の間のこと(3)

2003年12月31日

冬眠中

 ようやく、というべきなのか、やっと食器洗い機を購入した。年末特売、在庫処分、現品限りで、ものすごく安くなっていた。実は数年前、名古屋で1人暮らしをしていた頃からほしいと思っていたものなのだ。食事を作って食べるところまでは気力があるのだが、その後食器を片づけるところまでは気持ちが続かない。1人暮らしなら、台所に洗い物をためておいても誰も文句を言わないのだが、実家に寄宿していると、そういうわけにもいかず、居候河童の皿洗いが義務化されそうになったところに特売品を見つけ、なんでもいいから欲しいと飛びついた。
 そのあとホームセンターに行き、分岐金具を買って、自分で取り付けた。早速試運転してみると、少々うるさいが洗い上がりは問題なし。2年前の型落ちでも、汚れの落ちはそんなにかわらないのだ。これで一枚の皿に、何もかも一緒にのせて食事をしなくてすむ。
 あ、なんだ。これって航海中と一緒じゃん。

 加茂港に二日ほどいて、やっと酒田港に入港した。酒田港には、自作仲間の鈴木さんが所有している「ハルシオン」というヨットがあって、そこにつければいいと言われていたので、さっそくこのフネに横抱きさせてもらった。ここはヨットハーバーというか、運河にずらりとヨットとボートが置いてあるのだが、かんじんの水場がない。かわうそ号に積んであった水で体を洗い、荷物をハルシオンに移した。周りは工場ばかりでなにもなさそうである。
 ともかく町に行ってみないと買い物もできないので、早速、自転車を組み立て、町とおぼしき方向へ走ってみることにした。

 なんだか複雑に入り組んでいる引き込み線の線路を越え、工場地帯を抜けてみると、酒田はけっこう大きな町であった。早速、コンビニに入り、アイスクリームを買い、ついでに公衆電話でタウンページをパラパラとめくった。知らない町で捜し物をする時には、これが一番手っ取り早い。風呂屋は何軒か見つけ、次に牛丼屋を探した。

 実はこの時、無性に牛丼が食べたくなっていたのだ。名古屋に住んでいると、牛丼屋なんてどこにでもあって当たり前だと思うが、全国的に見るとそれはまったく間違いで、地方には牛丼屋はほとんどないのだ。たとえば、高知には2軒しかないし、鳥取にも島根にも、2軒ずつしかない。どう考えたって店舗戦略に問題があると思うのだが、これが現実なのである。地方では、吉野家OFFするにも一苦労なのだ。
 2002年の旅でも、八戸でどうしても牛丼が食べたくなり、かなり遠くまで出かけたことがあった。2003年も、3月の出発以来、ずっと牛丼屋を探していたのだが、まーったく見あたらず、完全に禁断症状が出ていた。

 電話帳を調べると、すばらしいことに酒田には、ちゃんと牛丼屋があった。町から少し離れたバイパス沿いなのだが、ともかく牛丼である。電話帳をしまった河童は、アイスクリーム片手に、はるか牛丼をめざしてペタルを漕ぐのであった。(続く)

酒田港のかわうそ号。
結局テントもはらず、ハルシオンの中に
ずっと泊まった。
ところが天候が荒れ、おもわぬ長居を
することになる。
鳥海山。
雲のない写真はなかなか撮れない。
この後、すぐ雲に隠れてしまった。