河童苦悩

2003年9月27日

北海道根室市

 少し、というか、かなりまずいことになった。

 今日、友人と一緒に釧路に行ってきたのだが、どうも今回の地震の被害状況は、思ったよりもひどいらしい。ほとんど被害がなかったのはこの辺りだけの話で、ここよりも震源地に近い、つまりこれから向かおうとしている地方では、かなりの被害を受けているようなのだ。旧釧路川には、貯木場から流れ出た丸太が何本も浮かんでいたし、被害という被害のなかった花咲港でさえ、埋め立て地は液状化がおこって、土砂の噴出した跡がはっきりと残っていた。

 正直言って、こんな状況の中で、この旅を続けることが正しいのかどうかわからなくなった。これから向かう港は、かなり津波の被害を受けているところもある。そんな中へ、のこのこ遊び船を漕ぎ入れていいのだろうか? もちろん、この地震がなければ、多少寒かろうとなんだろうと、進める限り進もうとは思っていた。だから、いろいろな人からの意見をはねのけて漕ぎ続けていたのだが、このような状況になると、考え直さないといけないのかとも思う。なにより、被害を受けた人たちの心を逆なでしてしまうかもしれないのだ。私としては、これ以上飛ばすと、いくら「約」という看板をあげていても日本一周にならないのではないかと思っているのだが、被害にあった人たちのことを考えると、はたして私の意地を通すことが正しいのかどうかわからなくなっている。

 河童、苦悩である。